【1】宇宙の誕生の話
先日は1年生の文化レッスンでした。
初めてのエレメンタリー文化レッスン。
12名の子ども達は、静かに熱心に聞き入っていました。
宇宙のことは、教室でも幼児期の終わりに少し導入をしておりました。
宇宙とは何か。宇宙の始まりとはどのようなものか。そして自分が今ここに存在している理由は何か。
1年生は毎年、「今どうして私たち人間がこのように暮らしているかわかるかな」
と質問をすると必ず「恐竜が絶滅したから」と答えてくれます。
図鑑や話で見聞きしたことに不思議な気持ちを持っていて、
小学生になると、その思いが強くなっていくのがわかります。
恐竜はもちろんですが、もっと長く前から宇宙が始まったことを話すと驚きます。
そして、まだまだ人間につながるには先が遠いことを少しずつ感じ始めます。
【2】宇宙教育(コスミック教育)の意味
小学生になると、必ずこの宇宙教育(コスミック教育)からスタートします。
この宇宙教育なしでは、エレメンタリーの教育はスタートできないと言っても過言ではありません。
なぜならば、
①宇宙の始まりがなければ、私たちはもちろん周りに存在する物も何もかもすべてがあり得ず、
また小学生で学ぶ生物も科学も地理も算数も言語も・・・すべてがこの宇宙と結びついているので、
他の科目の説明ができないからです。
②もう一つ大切な理由は、宇宙の始まりがあったからこそ、私たち人間が存在するということ、
そしてこれまでのご先祖様が多くの功績を遺してくれたおかげで今の暮らしにつながっていることを
この教育を通して知ることが大切だからです。
子どもは声には出しませんが、心の中で感謝の気持ちや畏敬の念を育て始めます。
たった一回の宇宙教育だけではなく、今後何度も聞くであろう宇宙から今につながる過程の話を耳にするたびに、
その気持ちは膨らみ始めます。
そしていつかは、自分も同じように何かを成し遂げたいと感じ始めます。
その大切な芽は、この文化の敏感期である小学校低学年に育ち始めます。
【3】実際に手を動かす
宇宙の話を聞いた後は、実際に自分たちで太陽系を作ります。
粘土を丸めて、10億分の1のサイズに縮小して作ります。
手を動かすことで、水星が木星に比べて思っているよりずっと小さいことを感じ、
地球の周りにどんな惑星があるのかを言葉だけでなく目で見て知ることができます。
でもただ作るだけでは意味がないので、必ず宇宙の壮大な話の後に作るようにしています。
子ども達は、聞いた話の何か一つでも引っかかる部分を元に作っているのがわかります。
例えば、地球が岩石惑星であるという事実から、青く塗るのではなく岩石の色を強調して塗る。
木星が大きいということから、木星をとても大きく塗る。
ガスでできた惑星だから青く塗りたいなど、それぞれが思い思いの色を塗ります。
【4】子どもが言葉に出すのはずいぶん先
子ども達は学んだことを、たくさん話してくれることもあれば、何も話さないことも多くあります。
これは子ども達の体や頭の中で、吸収したことを温めているから。
特に低学年のお子さんは吸収の時代に入ります。
感覚的に受け取ったものは、しばらく温め子どもの中で整理がつき始めたころに、
少しずつ言葉として出てきます。
高学年になって「あれ?なんでそんなことを知っているの?」と驚くように出てくることもよくあることです。
決してわかってないから、聞いていないからということではないので、
じっくり待ってあげてくださいね。
【5】モンテッソーリ教育の土台
こうして子ども達と一緒にエレメンタリー教育をしていて感じるのは、
幼児期の土台が大切であるということ。
しっかりと手を動かし一つ一つの作業を自分の力でこなすことができる。
幼児期は自分の選んだお仕事に邁進し、集中して取り組むこと。
繰り返す作業の中で自分を育て「個」が作られていき土台が作られます。
多少数教育がしっかりできなかった、字が書けなかったといったことはありますが、
個人のスピードもありますし、そのようなことは後から十分追いつくことができます。
それよりも、自分を作り上げてきた子どものこれまでが大切だと思います。
この土台を元に、子ども達は新しい世界を広げ、今度は抽象的な分野を楽しみ始めます。
幼児期は勉強にとらわれるよりも、子どものペースで手を動かすことから始めてみてはいかがでしょうか。